TPSを進めていくうえで、
はっきりした理由がない限り、人の好き嫌いは絶対オモテに出してはいけない

2020年10月2日、日本学術会議構成メンバーの人選で会議が推薦した学者105名の内6名が任命されなかった。理由について政府は総合的、俯瞰(ふかん)的活動を確保する観点から判断したと述べるに止め具体的説明は一切ない。学術会議関係者をはじめ各方面から様々な異論が出ている。

俯瞰とは高所から見下ろすことで、政府が決めたことに意義無用との解釈もできる。除外の理由を具体的に説明しないのは、「意に沿わない人材は受け入れない」とは独裁者の思想でその下地となっているのは「国民に選ばれた高貴な地位にある」といった性善説にあるとは言い過ぎだろうか。庶民として感じる今の政治は、場当たり的政策を積み重ねた新型コロナウイルス対策、公文書破棄の桜を見る会や死者まで出た改竄の森友問題など、表面化した様々な出来事に対する国の説明は理解しがたいく、疑問に真摯に答える姿勢は見受けられない。それらに意義を唱えたくも所詮は犬の遠吠え。

人は百人百様、誰とでも満遍なく平等に付き合うことができるのであろうか。あいつはどうも性に合わない。苦手だと敬遠したい人物はいるものである。しかし、それをあからさまに表に出せば嫌われる。人と人とのかかわりは顔の形も違えば考え方も違う。それを承知で人と付き合っていくのがこの世の定めである。人それぞれに考え方や生き方ある。それらに出会えるから悲喜こもごもの人生が送れ、知恵も生まれる。

二十歳前後の若者が自動販売機で購入した清涼飲料水を飲みながらゆっくり歩き始めた。5~6歩で飲み干した缶を道路に放り投げた。広くはない道幅の中ほどまで転がった缶を「あそこへ捨てなさい」と自販機横のBoxを指した。すると「どこに捨てようと俺の勝手だ」と速足で去っていった。このように自分さえよければよいといった人はどこにでもいる。

改善が進まぬ理由に、企業の悪しき体質

従業員数300名ほどの企業にTPS(トヨタ生産方式)の指導に行くと、工場の床や設備は油と埃とでドロドロ、水溜まりもある。訳の分からない品物が至る所に放置されている。どのようなモノかと尋ねると「たぶん不良品だと思う」と明快な答えは返ってこない。

倉庫ではフォークリフトで5段積みパレットの5段目を通路中央におろし、次に4段目をおろしたパレットに積み、3段目は先の2つとは逆方向に置いた。次に先に取り出した2つを元の位置に戻し終わると、3段目のパレットをすくい走り去った。

改善活動のスタートは整理・整頓を主に改善すべき問題の具体的な説明と解決策を伝え次回までの宿題とした。2週間後のフォローで改善結果の良し悪しと新たな宿題提起の繰り返しで2か月が過ぎた。宿題事項が1つもやられていない。理由を尋ねると客先で再々発の不良対応に追われ何もできなかった。

「不良はよく出るの?」
「取引先ではワースト1のレッテルを張られています」

「なぜ手を打たないの?」
「検査体制を充実しなければ不良は止められないです」

「どのように充実するの?」
しばし沈黙。再度の問い詰めで「今はR次長とM課長でWチェックしています」

「いつまでやるの?」
「お客様からやめてもよいと許しが出るまでです」

「検査体制の充実で不良はなくなるの?」
「Wチェックをすれば少なくとも客先までの流出は抑えられます」

「生産ラインと検査とでWチェックになっているのでは?」
「生産部での検査がうまくいっていません」

「なぜうまくいかないの?」
「人がいないからです」

「何人要るの?」
回答はなく通夜の席と化してしまう。

仕方なく世間話や過去の体験談に話題を変えると笑い声も出る。再び本題に戻すと通夜となる。これが改善メーバーを構成する工場長と5名の管理職である。

その後品質問題だけではなく、納期遅れや設備故障など様々の問題が明らかになり、それらを関連する部署の管理職や担当者の声を聞きながら「何故・ナゼ・なぜ」で突き詰めていくととんでもない事実を知ることになった。

何事につけ、手や口を出した者にすべての責任を持たされる。
うまくいったからといって褒められることもなければ、やらなかったといって叱られることもない。見て見ぬふりをしていることが最もベター、できることをできるようにやっていれば日は暮れる。

様々な意見や思想があるから、考える力がつき知恵を絞りだす

なぜこのような体質になってしまったのか。生産現場である部長に問題があることを聞かされた。部署や名前はかたくなに言わない。それがX生産部長であることを教えてくれたのは生産に携わる担当者である。改善活動メンバーにX部長の名を告げると、とっさに誰に聞いたのかと帰ってきた。誰でもよい。この場に呼ぶように依頼すると誰もが動かない。仕方なく名指しで指示すると渋々席を立った。

X部長に、現場で困っていることについて1つ1つを問いただすと、「それは○○に指示しました。まだやられていませんか?」、
「なぜフォローをしない?」、「部下を信じています、その内やるでしょう」
「それは聞いていない」、「聞いてはいるけど忙しくて出来なかった」、「これから問題をまとめ全員で改善を進める計画書を作って進めます」、他人事のように話す舌は滑らかだ。

2週間後、1つの改善もできていない。不良対策の報告書を書いていた。故障した機械の修理をしていたなど次から次へと言い訳が出てくる。ああ言えばこう言う。滑った。転んだ。のやりとりばかりで全く前に進まない。そうかと思えば半日以上機械を止めてチョコ停対策をするものの、できず放り出す。
あの手、この手と矛先を変えての目論見も日の目を見ることなく3か月が過ぎた。メンバーになぜ実状を上司に報告しない。過去に体験した様々の形態の解決策を話しても通夜が続く。そんな時にメンバーの1人がぽつんとつぶやいた。「彼は統轄役員に気にいられているから、何をいっても聞く耳はない」と本音を吐露した。
X部長の処遇を統轄役員に具申すると一瞬顔色が変わった。引くことなく押し込むと「考えてみます」。半年後にX部長は職責をはずされた。

組織というものは使う側も、使われる側も人のえり好みはできない。
様々な意見や思想があるから考える力がつき知恵を絞りだす。偏った意見が集中すれば進みゆく方向を間違えることもある。

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