トヨタ流 仕事の教え方
「仕事の教え方」が悪いと、作業者は一定の手順を守らず、品質にばらつきが出るのは当然の結果です。
「あの作業者はまだ新人だから遅い」
「あの作業者は不器用だから仕方ない」
「今日はベテランが休みだから進まない」
「何度も言っているが理解してくれない」
現場の管理・監督者の方々は、この言葉だけで片付けていませんか?
大切なのは、作業者に一定の手順を教え、守らせ、元に戻らない仕組みをつくることです。
― 指導者の反省の標語
1. 仕事の教え方で品質・安全・生産性は変わる
品質・安全・生産性を向上の対策として、設備の更新やルールの追加、チェック表の導入など、さまざまな施策が考えられますが、「仕事の教え方」について、研修を取り入れている企業は少ないかもしれません。
製造業の現場には、正社員だけでなく、パート・アルバイト、人材派遣会社・作業請負会社など様々な形態の作業者が働いています。雇用形態だけでなく、年齢、性別、国籍も違うことがあります。
「仕事の教え方」を学び、様々な作業者の方々を、いかに短期間に教育し、実際の作業を効率的かつスムーズに行なえるようにするかが、良い教え方のカギとなります。
良い「仕事の教え方」とは
| No | 定義 | 具体内容 |
|---|---|---|
| 1 | 作業者が正確に作業を理解し、再現できる状態をつくる | 作業の目的・成否・安全・やり易くを理解し、決められた時間の中で繰り返し再現できる能力を習得する。 |
| 2 | 作業のばらつきを減らし、品質・安全・生産性を向上させる | 作業動作のムダやバラツキの削減を追求し、正味作業の割合と作業の質を高める。 |
| 3 | 新人教育やOJTを効率化し、誰が教えても同じレベルの指導ができる | 新人教育・OJTの実践を通して指導方法と指導者スキルのレベルアップに取り組む。 |
2. 不完全な仕事の教え方の具体例
「もっと早く」「いい感じで」「慣れればできる」など曖昧な指示は、 作業者にとって再現性がなく、標準化から遠ざかります。 また、実演せず、手順だけを口頭で説明すると、誤解を生みやすく、 作業者の理解度に大きな差が出ます。 このように不完全な仕事の教え方は、不十分な理解のまま現場に出すことになり、 品質・安全・生産性のリスクが高まるのです。
| 問題点 | 現場で起きたこと(失敗例) | 正しい教え方(改善策) |
|---|---|---|
| 曖昧な表現 |
インパクトレンチ操作時に「しっかり握る」と指導。 作業者は“強く握る”と誤解し、腱鞘炎を発症。 |
「生卵をつぶさない程度」と具体化。 握手で力加減を体感させるなど、暗黙知を具現化する。 |
| 理由の説明不足 | 溶接作業で「5㎜残す」理由を説明せず任せた結果、ねじれに弱くクラック発生。 |
「なぜ5㎜必要なのか」を説明する。 理由を理解させることで応用力と判断力を高める。 |
3. 仕事の教え方のポイント
教えられる側の立場(人柄や経験)を考慮した教え方、特にカンコツを洗い出し、仕事の教え方の訓練計画を立てます。 訓練計画における、いくつかのポイントをご紹介します。
✓ 仕事の目的は、最初に伝える
作業の目的「取り扱い部品の機能と作業の成否」を理解してもらうことで、作業者の意識と集中力が高まる。
✓ 手順・重要ポイント・理由をセットで教える
再現性を高めるため、TJIの基本である「手順 → 重要ポイント → 理由」を明確に伝えることで、
作業者が“なぜその動作が必要なのか”を理解させる。
✓ 実演と説明を組み合わせる
言葉だけでなく、実際に指導者が作業を見せることで理解が深まり、誤解や思い込みを防ぐ。
✓ 相手にやらせて確認する
教えた内容(作業の目的・安全・成否・やりやすく・急所と急所の理由など)を相手が正しく理解しているか、
言わせて、やらせる。やらせてみて、理解・習得を確認し、できるまで良心的に根気よく教える。
✓ 元に戻らないような仕組み(一度教えて終わりにしない)
できるようになったから終わりではなく、習熟度に応じて見守り、必要なタイミングで支援する。
教えた後、周期的に観察フォローし、問題点の改善を進める。
具体的には、
- 初日は1時間ごと、
- 2日目は午前2回、午後2回
- 3回目は午後1回
という風に、観察を行い、疑問点や質問などを現場で作業者からヒヤリングし細かく対応していく。
TPS実践道場「仕事の教え方」プログラム
現場で再現できる指導力を身につける
トヨタ自動車の現場を40年以上支えた公式認定トレーナーが、講義と実践を通じて直接指導します。
品質・安全・生産性を同時に高める指導スキルを体得できます。


