トップメッセージ / コンサルティング事業本部
はじめに、新型コロナウィルス感染症の拡大により影響を受けられている皆様に、心よりお見舞い申し上げます。また、医療従事者をはじめ、感染症拡大防止にご尽力されている皆様に深く感謝申し上げます。
2019年12月に武漢市で発生し、世界中に広がったと言われているコロナウィルスですが、1年以上過ぎた今でも感染者数が増え続けているのは全く想像の範囲を超える驚きです。
思い起こせば2020年1月21~23日とタイにおいて「TPS改善 自転車道場」を開催したのが最後の海外業務で、その後は全ての海外業務が一斉にストップしてしまいました。それまで行っていた海外業務は、現地に出向いての「現場改善コンサルティング業務」、また海外の皆様を日本で研修する「Japan Study Tour」でした。皆さん日本式のモノづくりを勉強していたところ急にストップしてしまったどころか、世の中の動きが一斉に止まってしまったのだからこれも驚きが隠せません。
国内の業務は、一時的にストップしたところもありますが、その後、現場はしっかりと感染症対策をして改善活動を継続しているところが大半でございますが、まだまだ以前のように効率的に進められていないのが現状です。コンサルタントも基本的には在宅勤務でコンサルティング実施日のみ工場へ出向く対応をしています。今までと違ってわざわざ本社へ来ることが無くなり時間が有効に使えるので、その時間を活かしより皆様の役に立つコンサルティング手法とセミナーを企画しています。
このように環境と働き方の大きな変化の中、新しい2021年により改善活動を強化して進められるよう、次のような準備をしてまいりました。
1. お客様が有効な情報を簡単に検索できるようにHPのリニューアル化とメールマガジンの実施
2. 3密対策で集合研修からWebセミナーへの変更対応
3. より充実した教育コンテンツの開発
4. 現地に行かなくても実際の現場イメージで工場見学可能なオンライン工場見学
5. 現地に行かずとも現場改善指導が進められるオンライン現場改善
6. 積極的なデジタルトランスフォーメーションの導入
下記に「2020年版ものづくり白書(経済産業省)」より一部文章を抜粋しましたが、ポイントは「企業変革力強化・デジタルトランスフォーメーション・設計力強化・人材強化」と提起されています。不確実性の時代の中、変化に対応していく変化対応力を強化していく為、弊社では今まで以上に皆様のお役に立つコンサルティング事業を時代に即した形で推進してまいりますので、宜しくお願い申し上げます。
コンサルティング事業本部
伊藤彰洋
<2020年版ものづくり白書(経済産業省)> ※一部抜粋
総論 不確実性の時代における製造業の企業変革力
2019年から2020年にかけて、米中貿易摩擦に代表される保護主義的な動きの台頭、地政学的リスクの高まり、急激な気候変動や自然災害、非連続な技術革新、そして何より2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大等により、我が国製造業を取り巻く環境は、かつてない規模と速度で急変しつつあり、かつ極めて厳しいものとなっている。この環境変化の「不確実性」こそが、我が国製造業にとって大きな課題となっている。
そこで、今回のものづくり白書は、我が国製造業が、この不確実性の時代において取るべき戦略について、以下のとおり提起している。
① 企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)強化の必要
環境や状況が予測困難なほど激しく変化する中では、企業には、その変化に対応するために自己を変革していく能力が最も重要なものとなる。そのような能力を、「企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)」という。
今回のものづくり白書の主たるメッセージの1つは、不確実性の時代における我が国製造業の戦略は、この「企業変革力」の強化にあるということである。特に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって顕在化したサプライチェーンの脆弱性については、柔軟性や多様性等の観点から、サプライチェーンを再構築し、企業変革力を高めることを提唱している。
② 企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション推進の必要
IoTやAIといったデジタル技術は、生産性の向上や安定稼働、品質の確保など、製造業に様々な恩恵を与える。しかし、今回のものづくり白書では、デジタル技術が企業変革力を高める上での強力な武器であるという点を最大限に強調する。
特に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、臨時休校や医療現場での感染予防の観点から、遠隔教育や遠隔医療など、リモート化の取組を求めるニーズが高まっており、 我が国のデジタルトランスフォーメーションの必要性が加速している。
このように、単に新しいデジタル技術を導入するというのではなく、それを企業変革力の強化に結びつけられる企業が、この不確実性の時代における競争で優位なポジションを得ることができる。しかし、今回の白書の分析では、我が国製造業は、IT投資目的の消極性、データの収集・活用の停滞、老朽化した基幹系システムの存在といった課題を抱えていることを明らかにしている。
③ 設計力強化の必要
急激な環境や状況の変化に迅速に対応する上では、製品の設計・開発のリードタイムを可能な限り短縮することが必要となる。また、製品の品質・コストの8割は設計段階で決まり、工程が進むにしたがって、仕様変更の柔軟性は低下する。それゆえ、迅速で柔軟な対応を可能にする企業変革力を強化する上では、設計力を高めることが重要である。
これまで、我が国製造業の強みは、製造現場の熟練技能(いわゆる「匠の技」)にあるとされてきた。しかし、2019年ものづくり白書でも指摘したように、「匠の技」を支えてきた人材の高齢化等により、製造技能の継承が問題となるなど、現場の熟練技能に依存することの限界が見えつつある。
不確実性の時代において、設計のデジタル化が遅れていることは、我が国製造業のアキレス腱となりかねない。デジタル化による設計力の強化が急務である。
④ 人材強化の必要
我が国製造業のデジタル化を進める場合にボトルネックとなるのはやはり、人材の質的不足である。本文では、製造業のデジタル化に必要な人材の能力として、システム思考と数理の能力を特定している。
さらに、デジタル化に必要な人材の確保と育成の方策について、労働政策の観点からは、デジタル技術革新に対応できる労働者の確保・育成を行い、付加価値の創出による個々人の労働生産性をより高めることが重要である。
また、教育の観点からは、ものづくりの基盤となる実践的・体験的な教育・学習活動を一層充実させるとともに、「数理・データサイエンス・AI」のリテラシー教育を進めるなど今後のデジタル社会において必要な力を全ての国民に対して育んでいくことが重要である。