これは、中国の現場改善でよく出てくる言葉です。
コロナ禍における、中国現場改善の現状について、現地からお伝えします。
1. コロナ禍で変化が加速する中国の製造業
2020年コロナ禍で中国の製造業は大きく4つの変化がありました。
変化1:Iotの導入が加速
今回のコロナ禍で、急速な都市の閉鎖へとつながった温州市は、中国の多くの労働者を使用した昔ながらの生産をしている現場が多いという事実が、改めて明らかになりました。
製造業のうち、最も大きな打撃を受けたのは、労働者を最も多く利用している企業と、昔ながらのオートマティックでない管理手法を採用している企業です。
大企業・中小企業に関わらず、昔ながらの現場で多くの人を使用した生産方法は、コロナ禍のような特別な状況下では、生産管理は非効率的で、柔軟性も低く、運営費は高くなり、デジタル化、Iotの導入は、製造業をより迅速かる柔軟にし、コストを削減することが証明されました。
中国の製造業は今、本格的なIot導入の到来を告げています。
変化2:コスト削減・生産性向上への活動状況
近年、中国の製造業は、人件費・環境対策・税などの段階的な増加に直面しており、様々な場面で生産性向上を目指しており、利益を生みださないことへの投資、例えば人材育成などの投資をやめる企業が増えていました。
ムダのない生産現場をよくしるリーダーや、日本・ドイツ・韓国のコンサルタントによる継続的な活動でムダのない製造現場を確立するよりも、供給・マーケティング・運送などの運用面におけるIotの導入により、コスト削減・生産性向上を行うとしていたのです。
しかし、コスト削減・生産性向上は、トレーニングを削減し、輸送費を削減するだけでは解決できないません。ムダを生みだしている問題の解決はされていないからです。
アフターコロナでは、ムダのない生産現場を継続的に実践し確立することが、全体としてみるとコスト削減・生産性向上を可能にしているという意見が主流となるでしょう。
変化3:バリューチェーンの観点による業界再編成は不可避
コロナにより、中国の製造業の多く、特に中小企業は生存の危機にたたされています。止まっていた事業を再開するために、バリューチェーンの観点による事業の再編成は増え続けています。
一部の強力な製造業は、安価で購入できる好機を見逃しません。
もちろん、この生存の危機に対し、中国政府は、税金や手数料の削減、又は補助金などにより救済措置を行っていますが、実際に補助金を受け取ることができる中小企業は少ないです。
つまり、現在、多くの中小企業は、スポンサーやその他の強い外部を見つけることが、生き残れる条件となっています。
変化4:求められるのはキャッシュフローを強化したビジネスモデル
むかしは、多くの製造業の経営者はキャッシュフローが重要であることを、今回の危機を直面してからその重要性の本来意味で初めて肌で感じていました。現在、ほとんどの経営者はキャッシュフローが、表面的な操作において重要であることを知ってはいますが、深刻な危機に直面した経験はありませんでした。
上場していない中小規模の製造企業のグループでは、事業のキャッシュフロー戦略を持っていないことも多いです。そんな企業が、危機に遭遇しすぐに崩壊するその原因は、キャッシュフローの戦略を持っていないことなのに、コロナのような「悪い環境」にあると考えられることもありましたが、これは間違いです。
コロナ後、キャッシュフローの危機管理を経験した多くの中国の製造業の経営者達は、本当の意味での現金の重要性に気付いています。
2. 中国における、製造業の改善活動
中国のリーン(TPS)は主に自動車、電子、医療機器、機械業界の大企業では浸透している。中国の一汽、東風(二汽)、上海自動車(SAIC)、TFTE、上海GM、三一重工などは、成果が著しいです。
例えば、China Dongfengは、ギアボックス工場でリーン生産方式を1年間実施しました。生産量は、当初の設計能力を2倍、労働資本と生産労働者を50%削減し、労働生産性を2倍にしました。
一方、数多い中小企業(従業員 1000名以下の規模)と、中国の中西部の企業は、まだまだTPSを知らないといえる低いレベルで、大企業と中小企業の差は大きい。
写真:昔からの生産形式で、ムダが多く、スペースと資金を大量使用する
3. 中小企業の改善スピードが遅い理由
改善スピードが遅い最大の理由は、経営者・指導者が、TPSの本質を理解していないということです。そのような状態で、「短期で素晴らしい改善結果を出す」ことだけを求めていることです。
ムダのない生産は、継続的な改善が必要ですが、経営者や指導者が、TPSの理念と認識に欠けているため、5Sなどの基本を真剣に実行できず、問題にあたると改善活動が止まってしまいます。
4. この先中国のTPSはどのように進んでいくか
大企業以外にも、日韓企業、欧米系企業、台湾系企業、香港系企業はすでにTPSを取り入れ、生産体制が整っているので、中小企業の経営者・指導者も、製造現場のリーンシステム(TPS)が必要であることは認識しており、非常に注目されています。
ただ、TPSを誤って認識しているので、まず最初に彼らへのTPS教育が必要不可欠です。
中国における製造業の発展はまだまだ余地があります。
5. これから中国に進出しようとしている日本企業へメッセージ
1. 中国は将来的に、中国人の健康、安全、そして質の高い生活への意識が高まります。
これらの分野は日本企業の強みです。
したがって、日本企業はその強みを発揮する絶好の機会があります。
2. 日本企業は、現在中国で活発に議論されている新しいインフラの開発に特別な注意を払う必要があります。新しいインフラは多くの部品、原材料、生産設備が関係しているため、日本企業は依然として非常に重要な役割を果たすことができます。したがって、ビジネスチャンスは巨大です。
3. 中国の市場はあまり変わっていません。世界の中で最も速く、最大に経済回復するのは中国でしょう。なぜなら、日本の大手企業は、欧米市場のギャップを埋めるために、中国市場の急速な回復を期待し動いているからです。
ロフトは2020年7月に中国初の店舗を上海にオープンしました。高品質なライフを提供するロフトは、日本に100店舗以上を展開する超人気のライフスタイルコレクションストアですね。中国でも若い消費者から高い評価を得ています。店舗面積は約1,046平方メートルで、文房具、雑貨、健康用品、日用品の4大カテゴリーに焦点を当て、25,000〜30000点の商品を発売します。
正式開店後の販売商品は、基本的に日本店の更新頻度と同じになります。(ロフトは、今後3年以内に上海、成都などに直営店6店舗を出店する予定。)
▼海外の製造業支援サービス詳細はこちらから
海外の生産拠点サポートこのコラムを書いたTPS改善コンサルタント
白 敬全
現場改善 コンサルタント(中国)
GMやトヨタ関連会社などに勤務し、その後トヨタ関連会社の副社長を10年以上務める。その他、中国・米国・日本企業の現地ローカル企業の現場指導、工場の立ち上げなどの様々な豊富な経験をもつ、TPS、リーンのプロフェッショナルコンサルタント。