こういった考えの事を「検査の理念は検査しないこと」と言い、「品質は各工程で造り込む」、「自工程の作業は自工程で完結させる」に繋がっていきます。
1. 品質管理とIot
まず品質管理や品質保証部門の皆さんと話すと、『不具合対応に追われている』、例えば顧客説明のために多くの時間がとられている等の話を聞くことがあります。
残念ながら品質管理や品質保証部門の皆さんは「守り」の、われわれの言葉でディフェンス業務が多いのが現状です。
このディフェンス業務の多くは、現場4Mデータの収集やそれらの関連づけであり、それらが紙ベースだったり職場毎だったりで、それらはまさにIoTだDXの対象と言えます。
品質管理の本来の姿は、
√ 積極的で本質的な品質分析
√ 品質改善を推進する
「攻め」のオフェンス業務です。
2. 「品質を工程で造り込む」機能
「品質は各工程で造り込む」、具体的には設備や工程の作業者が検査も担当し、自分で責任を持って、良いものだけを後工程に渡していく事によって実現されます。
このような「自工程完結」を実現する為の「品質を工程で造り込む」機能には、次のようなものがあります。
1 異常時停止機能(自動計測装置取り付け) | 3 異常時呼び出し機能(止める、呼ぶ、待つ) |
2 ポカヨケ(誤組付け、工程飛ばしの防止) | 4 状況表示・伝達機能(アンドン) |
- 異常時停止機能 異常が発生したら自動的に設備を止める
- ポカヨケ 誤組付けや工程飛ばしが出来ない仕組み
- 異常時呼び出し機能 作業者が異常を発見したら、設備やラインを自分で止めて、監督者を呼んで、来るのを待って、処置をする
- 状況表示・伝達機能 職場に必要な情報を誰が見ても判るように表示するアンドンなどがあります。
3. 「品質を工程で造り込む」管理方法
「自工程完結」を実現する為の「品質を工程で造り込む」管理方法には、「見える化」や、「変化点管理」、「日常管理」、「設備点検体制」、「異常管理」、「啓蒙活動」などがあります。
1 見える化 標準類整備、各種情報の掲示 |
4 設備点検体制 設備治具類の維持管理 |
2 変化点管理 人、設備工程、材料部品、作業方法・管理方法 |
5 異常処置 連絡、処置、対象範囲の特定と調査、再発防止 |
3 日常管理 設備治具類点検、作業条件、標準作業、品質チェック |
6 啓蒙活動 情報共有、創意工夫提案、小集団活動、人材育成 |
- 「見える化」 品質チェック標準、設備の条件表、作業要領書を準備していつでも見れるようにしておく。
- 「変化点管理」 品質問題発生の1/3は仕様変更や新製品で発生し、残りの2/3は設備治工具の変更時や、作業者交代時、段取り替え時、工程変更時、などの変化点で多く発生していると言われています。
- 「日常管理」 見える化の項目や、変化点をチェックすると共に、現場で、設備治工具類点検、作業条件管理、標準作業遵守管理、品質チェック標準管理などを行います。
- 「設備点検体制」 ・設備治工具類の維持管理(摩耗、消耗、給油、点検)
- 「異常管理」 不良が発生したら、止める・呼ぶ・待つ・処置、対象範囲の特定と調査、再発防止を行います。
- 「啓蒙活動」 ・品質情報の共有、創意工夫提案、小集団活動、人材育成、などを実施し、「自工程完結」を実現していきます。
そして、各種情報を日常管理ボードで掲示して全員で共有できるようにする。
従って、4Mに変化があった際には要チェックです。
特に、作業者が変わった時には技能レベル、標準の遵守状況。
設備工程に変更があった時には機能が維持がされているか、条件の管理や、保全状況の確認
作業方法が変わった際には、作業のやり方、チェック方法、材料が変わった際には材質、形状、寸法精度、の確認を行います。
・異常時の停止装置、ポカヨケ装置、計測機器
などの点検を行います。
これらの維持管理・点検を行い、修理などが必要になった際には「予備品管理」が出来ているかがポイントとなります。
このコラムを書いたコンサルタント
伊藤 彰洋
現場改善コンサルタント
現場改善コンサルタントとして第一線で活躍中。国内外12か国以上、大中多種多様な現場の改善を実施し、都度、現場の問題を解決してきた。
生産管理システムを手掛けた経験により、営業~資材~生産管理~製造~外注と工場内のあらゆるプロセスにおいて改善活動を実践する。また、現場の人間と共に改善活動を行い、現場改善の文化を企業に根付かせ、品質向上・生産性向上・リードタイム短縮を実現する。
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