インドネシア製造業の人材の可能性

インドネシアの製造現場では怠けている人は一人もいません。
日本では当たり前のことでも、彼らは真剣に耳を傾け、「インドネシア人は怠け者ではなく、ただ今まで知らなかっただけ」だと気づきます。

インドネシアの工場

みなさん、こんにちは。私は1987年の10月に語学留学でインドネシアに来ました。それ以来、主に通訳として今までインドネシアの西ジャワ州、ブカシ県、南チカラン郡にあるアジア最大の工業地帯に滞在しています。

インドネシアは様々な人種、言語、文化が入り混じった大国です。そのような国が一つにまとまっているというところに非常に興味を惹かれました。そしてその大きな国を一つにまとめている力というかシステムというか、そういったものを世界的に適応させればこの世界が平和になるのではないかと思って今まで活動を続けています。
ただし、そのようにインドネシアは素晴らしい国だと言っても実際に国力がなければ外国は相手にしてくれません。その国力を高めるために一番必要なものは人材育成であると信じています。

落胆した大学での人材育成

当初は大学で日本語講師として人材育成に携わっていました。
しかし、大学では真剣に学ぼうとする学生が少なく、ましてやカンニングなど不正な行為をしてどんどん卒業している様子を見てかなり落胆していました。

インドネシアでは、インドネシア人自身が「インドネシア人は怠け者だ」ということをよく言います。私はこの言い方が大嫌いです。
学生が授業中にそのような発言をしたために感情的になって大学を追い出されたこともあります。
それほどインドネシア人の可能性を信じているのだと思います。

ちょうどそんな頃ある自動車部品の製造工場から社長付きの通訳を探しているとの情報が入りました。それが製造業と関わるきっかけとなりました。また同じ頃、製造関係の研修の通訳も頼まれ、一気に製造関係に首を突っ込むこととなりました。

取引先からの監査

製造業の世界に首を突っ込むと面白いこと、面白いこと。
工場の通訳として働いているときに一番勉強になったのがお客様の監査です。

最初の監査では合格点をもらうことができませんでした。しかし、取引はほぼ決まっていたのでそれだけで終わらすことはできません。
日本のマザー工場、ましてやお客様の会社から頻繁に人が指導に訪れます。当然ながら全ての通訳は私が行います。その時にどれほど多くのことを勉強することができたか本当に感謝しています。そして製造業の深さを感じました。その時、「インドネシアの人材育成は製造業から」という確信を得ました。

製造業の人材育成

その社長付き通訳の仕事が終わってから、今のインダストリアル・サポート・サービス・インドネシア社を立ち上げ、企業研修関係の通訳の仕事、特に製造業における人材育成に携わりました。私の一番の心の落ち着く先が工場の現場です。現場では怠けている人は一人もいません。それを見ると心から安心します。

そして、もう一つ嬉しくなるのが研修です。製造関係の研修では、ほとんどの参加者が目を輝かせて聞き入ってくれます。日本では全く普通のことを話しても「え、そうなんですか」と真剣に聞いてくれます。そのような状況から、「インドネシア人は怠け者ではない。ただ今まで知らなかっただけなんだ。」と思うようになりました。

 報連相の研修では製造業以外の会社からの依頼もたまにあります。しかし、参加者の熱心さを比較するとやはり製造業の方がダントツ上です。
やはり毎日のように様々な問題にぶち当たり、それを処理しているからだと思います。

 報連相の研修では人の幸せのレベルには四段階あるという話をします。
「予定をしていないお金が手に入った」「好きな彼女に好きと言われた」などは一番下のレベルです。
その上のレベルは「努力をして今まで知らなかったことを知れるようなった」ということです。
そしてその上が「勉強したことをベースに新たなものを創造する」。そして一番上が「その創造したものを通して人を幸せにする」です。

私は工場の現場で働いている人たちに、「あなた方は毎日製造に従事している。いつも「創造」という高いレベルの幸せと一緒に働いている。だから安心していいよ、」と言います。本当に心からそう思っています。

インドネシアの人材育成は製造業から

 今の世の中、様々なものであふれかえっています。そしてそれらのものを使ったり移動させたりして経済が回っています。エンターテーメント活動も多くの場合、製造業を中心とした企業からのスポンサー収入で成り立っています。
ですから、思い切った言い方をするなら、この世の中は製造業なしには回らないという言い方ができるのではないでしょうか。それは、世界の工場が全て操業停止したと創造するだけで納得できると思います。製造に関わる人はそのくらいの自負を持って良いと思います。

 様々な場面で人材育成が叫ばれています。そういった中で、私は人材育成の中心を製造業に持っていくべきだと思っています。
現在、日本では多くの人が大学を卒業した後、大企業への就職を望んでいるようです。
しかし、今まで私がいろいろな人や、いろいろな場面に接している中で、やはり製造業ほど面白いものはないと思います。インドネシアでも日本でも製造に関わる中小企業に光を当てることが、これからの世界を明るくする原動力になると思います。

 最後になりますが、工場というところはとても魅力のある場所であると思います。管理者の熱意ひとつで大きく良い方向に変えることができます。是非、熱意のある人にインドネシアに来ていただき、インドネシアましてや世界の発展のために貢献していただきたいと思います。私も微力ならがお手伝いいたします。

このコラムの筆者
奥 信行

コンサルタント インドネシア ジャカルタ在住

社団法人日本報連相センターインドネシア支部長
インダストリアル・サポート・サービス・インドネシア社 副社長
NHKの深夜番組の海外特派員だよりのインドネシアのレポーター

選ばれる3つの理由 REASON

REASON 1

40ヶ国、
1,500社以上の改善実績

自社だけでは解決できない現場の問題は必ずあります。製造業が勝ち残るための改善・改革は、国や業界を問わず、改善の実践体験を通じて、人材を育成し、生産体制基盤を強化することが必要です。

REASON 2

現場が一目置き、
喜ぶコンサルティング

従来のコンサルティングでは、経営層とコンサルタントが中心になってすすめるため、現場とコンサルタントの間に距離がありました。弊社コンサルタントは、評論家的な「あら探し」ではなく「改善の種」を具体的に見出す指導により、現場の人間との隔たりのない指導をすることができます。

REASON 3

指導終了後も
継続的改善がされる

「人づくり」を強化しながら、設計から調達・製造・物流、そして生産管理と「全体の流れ」を重視し、貴社の現場の実態に合った指導を実施。現場が納得できるコンサルティング指導を行うことで、指導終了後も改善文化が継続されます。

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