2020年初頭、世界中を震撼させた感染症「新型コロナウイルス」の日本上陸を機に国内の産業界は大きな変革を迫られる事態となった。

政府・自治体はじめ関係者はこぞってテレワークやリモート会議への対応を企業に求める結果となり、1年半を経過する現在においてもその傾向は継続中であります。

こうした環境下、企業の経営戦略としての位置づけを意識した「現場改善」への取り組みを意識しながら、効果的な「現場改善」を実現するために対応すべき考え方を模索してみた。

経営戦略的「改善」が改悪にならない3つのコツ

「現場改善」を語るに不可欠な「ジャスト・イン・タイム」「自働化」をはじめとした、『トヨタ生産システム』に関する知識や取り組み方等々は他の先輩諸氏にご指導いただく事とし、ここでは「改善」するはずの取り組みが結果として「改悪」とならないよう考えを巡らせてみましょう。

1. なぜ「悪い」のか、なぜそう設定されたのか明確にする

先ずは、「改善」とは何か?を明確にして共有します。

一般的に「改善」とは、“悪いところを改めて良くする事”と表現変更されることが多いようです。
という事は、現状の「悪い」ところがどんな面でどの程度悪いのか?を明確にする必要があります。定量的なものの認識の大切さということです。

第一印象でムダと感ずる作業や行動でも、その作業や行動がなぜ作業プロセスとして設定されているのか?を関係者を含めて検討し把握する事が必要不可欠であり、この行動が後に起きるかもしれない問題の極小化に貢献することも多々見受けられます。

加熱乾燥プロセス 改悪の事例
水洗~溶剤置換~加熱乾燥~次作業といった製造プロセスはよくあるところですが、最も時間を要する加熱乾燥プロセスを簡略化して、時間短縮という改善?が後々大きな品質問題として顕在化した。

(原因)
加熱乾燥プロセスの誤った条件変更に伴う残留ガス放出による金属腐食等々

(対策)
現状の問題点~問題の改善案提示~改善案の検証~改善案導入による効果確認~手順書類の変更といった一連の活動を通して、的を得た現場改善を実現する事で、改悪を防ぐことができます
2.良好な職場のコミュニケーションなしでは成功しない

 現場で働く皆さんの「現場改善」への取り組みを考える時、多くの場合は組織としての効果的取り 組みを展開する場面が多い事と予測します。

改善しようとする為には

  1. 項目設定
  2. 条件設定
  3. 新条件での作業実施
  4. 新条件での結果確認
  5. 新条件での結果判断
  6. 作業手順書等々標準類の改訂
といった一連の処理対応が必須です。

 この一連の処理対応においては、上司や関係者のご意見やご指示をいただきながら取り組むケースが考えられますが、議論には日ごろからの良きコミュニケーションが大変重要になります。

 議論する場面では、お互いの関係者が遠慮なく議論を交わせることが、正しい判断を引き出すために必要不可欠といえます。

 多少の諸事情は予測しますが、顧客満足や企業発展への貢献をはじめ関係者の存在意義を高める 貴重な成果として存分にアピールする事も歓迎される事請け合いです。

 トヨタ生産システムの生みの親でもある大野耐一氏が、書籍「なぜ、必要なものを、必要な分だけ、必要なときに、提供しないのか」の中で、“標準作業(サイクルタイム・作業順序・標準手持ち)の実現には、生産現場の指導者・監督者の皆さんのリーダーシップが不可欠であり、指導者と作業者との人間的信頼感や作業者同士の信頼関係の定着が不可欠である”とのコメントも興味深い。
3.指導者による改善功績への賞賛の言葉は、作業者個々の成長を実現する

「現場改善」への取り組みに際しては、改善すべき問題の選定からはじまり、現状把握を通して改善案の設定を行い、最終的な改善を実現する事になる。

その過程では指導者・管理者をはじめとする関係者との諸調整、QC七つ道具をはじめとする管理ツールを使いこなした現状把握、更には問題の改善に向けた対策案構築といった最終的な問題解決に向けた業務に取り組む事となる。

こうした一連の取り組みを通して実現した「現場改善」は指導者・管理者に対し報告されるのが一般的であるが、指導者・管理者にはその「現場改善」の功績に対し称賛の言葉を期待したい。

こうした場面で交わす“誉め言葉”は現場作業を推進する作業者の皆さんには大きな自信と「人」同士の相互信頼の完成形となるものと信じて疑わない。

おわりに

 製造現場を舞台とする「現場改善」を通して得られる知識や経験、更には取組みへの自信は貴重な成果物として以降の企業生活をはじめ多くの場面での「現場改善」に貢献できよう。

 「現場改善」を目的としたテーマ選定、難易度、必要な知識、個々の作業に対する論理性等々の難しさから時には折れそうな心を鼓舞しながら取り組む姿勢を応援したい。

 暴風雨に吹きさらされ、横たわる稲穂が再び困難を排して復活する現象を例えた“レジリエンス”の重要さを締めの言葉とする。

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このコラムを書いたTPS改善コンサルタント
沢田 憲一

ソニーOB

半導体部門に在籍し、LED素子・撮像デバイス・液晶デバイス・半導体ウエハプロセス等の研究開発部門~製造部門に従事しながら品質管理、生産管理、クリーン化技術等を習得した。

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