目次
結局は、問題の根本を追究・解決することをやらなければ、
目指すべき目的・結果を満たせず、改善はすすまない。
働き方改革も同じ。
現状の真の原因を解決しなければ、仕事の効率はあがらない。
1. 働き方改革と効率
印鑑の廃止が国の音頭取りで進められている。IT技術の進化で書類は電子化され押印や直筆のサインもできる。パソコンで作った資料をわざわざ紙に印刷して捺印をすることはない。それが廃止の理由であると考える。
日本特有の文化を“なぜ”今なのか。
ものごとは人と組織、組織と組織との関わりがあって成り立つ、役職者の承認印を得るために書類を持ち歩く、役員に至っては秘書とのコンタクトも必要である。これをわずらわしいと思うか、数少ない意見交換や意思疎通の場と考えるか。
業務の効率化や働き方改革の一環であるとするならば他にやるべきことが多々ある。
効率とは、有用な仕事の量と供給されたエネルギーの比である。効率Upを目指すならば妨げとなる要因、人では既得権や和合や融合の取れない組織、モノなら機械故障などを取り除くことである。しかし、人は楽を好む。
2. やるべきことが決まっているかが、仕事の効率を左右する
仕事というものは、やるべきことを きちっとやることが最も効率がよく問題もそうそう起きない。
起きたとしても決められている手順やルール、機械の作動順序などをたどっていけば、いつもとの違いにたどり着くのも容易だ。
やるべきこととは、つぎ込んだエネルギーに見合った結果を出すことで、モノづくりを数値で表すと1時間に100個生産できる機械なら結果を同数にすることである。そのための保守点検は欠かせない。
生産現場には様々な不稼働要因があって効率100%は瞬間的には可能であるが、ランニングでは不可能である。極端な事を言えば、仕事中の用足しは認めざるを得ない。人道的要因以外の離席や不稼働原因を取り除く、機械なら故障を起こさせない。動かしたい時に正しく動くよう管理を怠らないこと、それがやるべき仕事である。
3.なぜ改善は定着しないのか
TPS(Toyota Production System)に限らず職場の改善活動は、整理・整頓から始まる。
5S(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ)活動は昭和30年ころから盛んになったと聞く、各企業がこぞって取り組み、6S(整理・整頓・清潔・清掃の習慣を しつける)や8S(習慣をしっかり しつこく しつける)を唱える企業も現れた。
しかし令和になっても啓蒙ビラは更新され、色あせたビラを掲示したままになっている企業はなく、定着の難しさを物語っている。
“なぜ”定着しない。人は楽をすることに抵抗はしなく、めんどうなことは避けたがる。
「この程度なら、マーいいか」
「マーいいかが、いつの間にか当たり前に」
「当たり前が、いつの間にか標準に 」
5Sに限らず物事は日々コツコツが最も大事であるが、最も難しい。
4.生産計画と可動率(べきどうりつ)
北風が強い。事務所から工場へ向かう。両手をズボンのポケットに入れ背を丸めて歩いている従業員とすれ違った。注意はなし。道端に落ちている通い箱の仕切りと思われるボール紙を踏みつけて通り過ぎた。工場を取り仕切る上層部がこれでは定着どころではない。
自働機は機械から人を離し多台持ちを可能にした。
稼働中の動きに、いつもとの違いを検知すると止り、赤ランプが点灯ブザーで知らせてくれる。安心・安全な職場だ。
停止原因を監督者が探るも見つからない。再び稼働させ、しばらくは様子をみるが問題はなさそう。
いわゆる原因究明の難しいチョコ停と言うやつである。
TPSは原因が分かるまで徹底的に追及をするがそうした思想はない。
2度目以降は担当者が再稼働、次第に停止間隔は短くなり、とどのつまりは重大故障。
機械を動かしたい時に正しく動いた回数を率であらわす可動率(べきどうりつ)がある。
正しく動いた回数を数値の置き換えると、加工能力1時間停止「0」で100個、8時間では800個できる可(べき)である。結果が600個の場合、正しく動いた回数は600回で可動率は75%である。
1ライン4~5台で構成された機械加工の可動率は全15ラインが50%前後、納期遅れはない・・・“なぜ”。
原因を探ると、とんでもない事実が判明、負荷率(加工能力と受注数の比率、加工能力800 受注400の負荷率は50%)と可動率がほぼ同数である。
生産計画の答えは、現場が計画通りにモノをつくってくれないから、先月の実績を基準にしている。つまり、先月の可動率が50%なら50%の稼働で受注数をこなせる計画である。負荷率の話をすると初めて聞きました。こうした実態はどの企業にも大なり小なり内在している。
“なぜ・ナゼ“ やるべきことを やるべき人が やっていないからである。
5.日々の忙しい、は多くの問題を抱えているから
「働き方改革イコール楽をすること」と、勘違いの風潮がみられる。
日々の忙しいは多くの問題を抱えているからで、想定外もゼロではないが、目指すべき目的や結果を満たしていれば労働時間の延長はない。
与えられた仕事はきっちりこなし、結果も問題ない。それでも時間が足りないといったオーバーワークの改善が真の働き方改革ではないだろうか。
組織の上位者は下位者を育ててなんぼ、育てるということは難儀なことで忍耐も必要であるが難しくはない。日々現場を観て、診て、看て回り、下位者との会話をおこたらない。要するに、いつもと違う状況を事前にキャッチすることが管理の基本であり、下位者の育成にもつながる。
コロナ禍で経済を停滞させないGo-Toトラベルやイートが国土交通省と農林水産省によって実施されている。スタートして間もないのに多くのトラブルを耳にする。原因は現場の実状を知らない 調べない。頭で考えことを実行に移したからである。
▼組織を強くする無料セミナーはこちら