皆さん、こんにちは。私は、インドのマハラシュトラ州に住んでいるファイサル・シェイクです。
製造業のお客様を中心に、TPSの改善研修やコンサルティングを行っています。
コロナ禍における、最新のインドの状況について、製造業を中心にお伝えします。
1. コロナ禍でインドの経済、生活の状況

ロックダウン解除直後、多くの産業において人手不足に苦しんでいます

インド全土の大都市からそれぞれの故郷へ、大規模な移住がありました。産業への最大の影響は、すべての分野に関して、熟練した人材の不足です。

2番目に大きな影響は、材料入手が困難なことです。原因は、サプライチェーンの混乱です。
経済は低迷し、以前と同等レベルにまで戻るには長い時間がかかるでしょう。
産業やその他の封鎖を解除することで、人々はゆっくりと着実に生活を再開することができました。インドには、均質な人的資源という特有の問題がありますが、コロナ禍により、強みが弱点となりました。

仕事に呼び出すか、自宅で安全に過ごさせるのか、それはジレンマとなりました。在宅で仕事をしながら、家族の世話もすることは大変です。
日用品や必需品を手に入れることや、日常生活を続けるのにも苦労を要します。

経済活動は、すべて再開されましたが、市民間には不安や恐れも見られ、ポスト・コロナの状況は厳しい傾向にあります。ポスト・コロナ経済は下降傾向です。
業界は、熟練工の問題や、あらゆる物品の値上げによるコスト増加の問題に直面しています。現在、一部地域においての、新しい症例の突然の急増により、国民全体に精神的な影響を及ぼしています。

2. コロナ禍から生まれた新しいサービスはありますか?

あります!業界は順応性があり、強制的ではありましたが、変化への準備ができています。

製造業が苦しむ中、サービス産業は活況を呈し、トレーニングおよびサービス産業はリモートでの作業機会を得ました。

誕生した新しいサービスは、ウェブセミナーとウェブ会議です。ウェブ会議のソフトとノートパソコンやコンピューターのようなIT業界の売り上げが増加しています。
FMCGとeコマース業界は、顧客に資料を提供するための、新しい方法の模索で急成長しました。

研究所などの医療業界や医療従事者に対する需要が高まりました。伝統医学と現代医学の健康アドバイザリーのような新しいサービスが活況を呈し、消毒剤メーカーも、どこよりも飛躍しました。

3. 現在のインドの製造業の状況

ロックダウンから6か月後の製造業は、他の地域の制限による影響で、以前として資材不足とサプライチェーンの問題を抱えています。業界全体はプリ・コロナと同等になりつつありますが、プリ・コロナの労働者は工場で働いており、すべてのオフィスおよび管理者は在宅勤務しています。

労働者全ての労働時間が増加しました。業界による最大の予防策は、2022年まで延長されたWFH(Working From Home:在宅勤務)ポリシーです。
もう1つの予防策は、工場での他者との安全な距離の確保と、製造以外のスタッフに対する時差出勤です。一部の組織では、担当者が隔日でオフィスに出勤する方針にしています。
これらはもちろん、手洗いやマスク着用、工場の他の人員たちとの交流の制限などのソーシャル・ディスタンス方針をとった上でのことです。デジタルおよび、ウェブ会議への投資は100倍になりました。一部のIT企業は恒久的なWFHポリシーをほぼ50%にしています。

4. インドの製造業は改善をどのように実施していますか?

改善やその他向上のための活動はインドで約20年になります。
改善とそれに付随する活動は、すべてのインドの製造業でかなり一般的なものとなっており、組織はTPM、TQM、デミング賞も追求しています。業界全体で一般的になっている活動はQCサークルです。適応性を持ち、現況を改善し、リードタイムを短縮することは、各組織の主要な取り組みとなっています。

インドの様々な組織がモノづくりの慣行に従っています。ほとんどすべての組織でTPSを採用し、作業方法を変更しています。TPM、シックスシグマ、TQM、制約理論などが広く実践されています。

一部の組織では、NVA(Non-Value Added:非付加価値)調査と改善活動にソフトウェアを使用しています。

※写真:朝の通勤バスを待つ様子。ロックダウンは解除されたが、リモートワークが推薦されるので、人はまばら。2020年12月(インド・マハラシュトラ州)

5. 日本メーカー インドでの事業拡大の課題は?

インドと日本は昔から長い付き合いがあります。この60年で、そのパートナーシップは飛躍的に成長し、インド全土にさまざまな日本の企業が設立されました。
私が住むマハラシュトラ州とその隣のグジャラート州に合わせて300もの企業が設立されました。マルチ・スズキ、トヨタ、日産、ホンダ、パナソニック、ダイキンや三菱のような組織もあります。

一方、日本の製造哲学と考え方はインドでは守られてはいません。日本の製造業者は、人的資源と労働力の取り扱いという最大の課題に直面しています。最近、経営陣と労働者の間でいくつかの問題がおきました。

しかしながら、インドは低コストの労働力とインフラの拠点であるため、日本の製造業者には多くの利点があります。インドには成功した日本企業がたくさんあります。マルチ・スズキはインドでトップの自動車のサプライヤーおよびメーカーであり、バイクとスクーターのホンダがそれに続き、高品質の自動車のトヨタはインドではアイコン的なブランドです。
もちろん、インドの環境でモノづくりを実現するための、考え方や情熱の伝達という課題は残っています。さまざまな日本のトップメーカーの経営は、すでにインドで成功しています。

日本政府はインドで多くのインフラプロジェクトを支援してきました。日本の協力で最も記憶に残っているのは、日本のアイコンである、新幹線プロジェクトです。日本企業には大きな可能性があります。例えば、建設機械、自動車、耐久消費財、重工業、航空宇宙などの業界がそうです。

このコラムを書いたTPS改善コンサルタント
ファイサル・シェイク

Factories of India(インド) 創始者&CEO、現場改善コンサルタント

スウェーデンでの産業エンジニア、日本でのリーントレーニング、日本人講師によるMFCAトレーニングを経て、インド全土において優れた製造業ツールおよび技術を普及。

インド、アジア太平洋地域の約150の工場へ代表団を主導し、ITおよび人材育成の分野で、製造業における20年間の実績。 コンサルティング、トレーニング、製造技術の導入。

▼海外の製造業支援サービス詳細はこちらから

海外の生産拠点サポート

選ばれる3つの理由 REASON

REASON 1

40ヶ国、
1,500社以上の改善実績

自社だけでは解決できない現場の問題は必ずあります。製造業が勝ち残るための改善・改革は、国や業界を問わず、改善の実践体験を通じて、人材を育成し、生産体制基盤を強化することが必要です。

REASON 2

現場が一目置き、
喜ぶコンサルティング

従来のコンサルティングでは、経営層とコンサルタントが中心になってすすめるため、現場とコンサルタントの間に距離がありました。弊社コンサルタントは、評論家的な「あら探し」ではなく「改善の種」を具体的に見出す指導により、現場の人間との隔たりのない指導をすることができます。

REASON 3

指導終了後も
継続的改善がされる

「人づくり」を強化しながら、設計から調達・製造・物流、そして生産管理と「全体の流れ」を重視し、貴社の現場の実態に合った指導を実施。現場が納得できるコンサルティング指導を行うことで、指導終了後も改善文化が継続されます。

40ヶ国以上、
有名メーカー出身のコンサルが対応。
お気軽に問合せください。

お急ぎの方は御電話ください。

03-5783-3571
お問い合わせ受付 [平日] 8:30~17:30