「全体最適」の視点から
工程間を超えて取り組む 社内物流改革

結果
  • 一本の切り分けに要する時間のライン平均
  • 改善前が「20.1分」→改善後が「17.4分」
  • 積込工程 2名の省人化
  • <問題点>
    日本の電線産業の世界における地位は中国、米国について3位。一方、国内では大・中・小から零細企業まで400社がひしめいており、過当競争に陥りやすい体質となっており、経営環境が非常にきびしい。

    約3000種の製品を手掛けているが「緊急・小口・納入時間指定」など業界特有の物流慣行にさらされている。
    いわば「注文がきてからでないと注文の内容が何もわからないので、その日の作業ボリュームがどれくらいあり、いつ作業が終わるのか見当がつかない」という状況。

    全社としては「総コストの大幅削減」、物流部門では「モノと情報の整流化」を目指した取り組みを展開した。

    業界詳細
    電線ケーブル及び光ファイバーケーブルの製造
    日本
    企業規模
    従業員 350名
    課題
    管理監督者の育成
    目的
    在庫管理
    業界
    その他
    スケジュール
    2年間のコンサル指導(2日/月)
    改善前の状況

    工程は、下記3つに分かれている。

    1. 顧客の注文どおりにケーブルをカットする「切分組」
    2. 定尺品や切分品を出庫する「倉庫組」
    3. 荷揃えとトラックへの積込み立ち会いを行う「積込立会組」

    現場では以下の問題が順次発生している。
  • 積込み効率がよくならない
  • タイミングのよい荷揃えができない
  • 深夜積込作業の常態化
  • 計画通りに切分作業が完了しない
  • 倉庫出庫に繁閑が生じる
  • 繁閑が積込時間帯に悪影響
  • 取り組み内容と改善結果
    工程名
    改善項目
    改善後
    「切分組」
    (1)切分作業の動作改善による生産能力改善:ムダと問題点の排除

    (2)管理ポストの設置による作業進捗の見える化:「管理ポスト」と名付けた手作りの棚を設置した。
     
  • そこにラインごとの仕事量の見える化のため指示伝票をライン別においた。
  • また同時に作業すべき時間帯がわかるように1時間ごとに仕切りを設置。
  • 一本の切り分けに要する時間のライン平均は、改善前が「20.1分」、改善後が「17.4分」と大きな成果を上げた
    「倉庫組」
    (1)「倉庫組」版監理ポストの設置
  • 各種作業進捗の見える化
  • 人の動きの見える化
  • 出庫作業終了時間の見える化


  • (2)QRコードの導入
  • 現品の相違(異品、異サイズ)という不良の防止
  • 確認作業の効率化・合理化
  • 作業改善とIT化の両面作戦で、作業のムダ・繁閑が把握できたことで効率向上ができ、倉庫組では1名の省人化につながり、誤出荷が皆無となり、「CSと品質の向上」に大きく寄与した。
    「積込立会組」
    「トラックの最終出車の理想時間22時厳守」を命題に下記のアクションプランに取りくんだ。
    (1)前工程の応援強化:前工程の切分作業の遅延解消

    (2)繁閑に応じた機動的人員配置

    (3)作業進捗管理システム構築
    当初目標の「22時全社出車」は未達成なるも出車台数のピークであった時間帯が23時超えから20時~21時と前倒しとなった。また積込工程では2名の省人化が実現。
    まとめ

    各工程別の改善と併せ、「全体最適」の視点から工程間を超えて取り組んだ結果、大きな成果を生み出した。 今後、物流コスト発生の様々な要因を営業部門と共有し、「受注~出荷」の「整流化」を意識した全社的な取り組みを展開する。

    トヨタ流 仕事の教え方
    TPS公式トレーナー
    石垣 忠政(いしがき ただまさ)

    トヨタ自動車OB 元本社工場工長

    本社工場の組立職場を第一線で支えてきた筋金入りの現場職人。妥協を許さない現場への思いは人々を引き付ける。 技能育成グループトレーナーとしても活躍し、トヨタ生産方式など、さまざまな現場教育、指導を実施。

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